Magnesium Alloy 開発秘話01
自然で豊かな響き
透明感がある美しい音色
マルコ・ケーナの始まりは、社長の九川が自らアマチュアで活動するファゴット奏者であることもあり、若かりし頃に興味本位で買った一本のケーナだった。植物由来のケーナは、楽器の個性が強くなかなか上手く吹けず直ぐに挫折して、いつの間にか忘れ去られてしまっていた。それから年月が経ったある日、九川は自信が携わるパイプ製品の穴加工を見て、それが笛に見えて来たと言う。そして、以前挫折したケーナを思い出した。『吹けなかったケーナ、だけどその体験があるからこそ、より吹きやすいケーナを追求できるかもしれない。』それからというもの、九川はケーナの製造に構想を巡らした。
九川は、開発当初から素材にはマグネシウム合金をと考えていた。音響機器など音の振動を伝達するのに、よく使われている事を知っていたからだ。マグネシウムの軽量で高い振動吸収性が、ケーナに求められる音質に合っていて、実際に作られたケーナは、プロトタイプの段階から、高音域を繊細に表現し、素朴で自然、透明感のある美しい音を鳴らした。
オーボエ奏者|よねち
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Artistよねち
出来ないからこそ夢中になる
下手でも楽しい私!
ビギナーといっても、音楽経験の無い方が突然ケーナに出会うことはなかなか無いと思います。ここでの初心者とは、ある程度、管楽器経験を持ちながらケーナは初めてと言う方かもしれません。実際、オーボエ奏者の私にも初めてのマルコ・ケーナは、戸惑いの連続。音が出なくて、オーボエを始めた頃の中学時代を思い出し、吹けないのに『楽しい‼』と矛盾した気持ちに思わず笑みがこぼれてしまいました。
私のオーボエ奏者になるキッカケは、中学の吹奏楽での出来事。手にしたオーボエが難しくて吹けないことへの劣等感に対して、どうしても上手く吹けるようになりたい!と言う強い気持ちが始まりでした。吹けないから、難しいからオーボエについて深く考える、知る、練習する。こうした経験を繰り返す事から、オーボエという管楽器への愛情も強くなって行き、いつしか私の人生に大きく大切なモノに変っていました。
そんな私だから、マルコ・ケーナは、音楽の楽しみを思い出させてくれる管楽器の一つかもしれません。吹けない音を楽しみながら、一音づつ大切に音を奏でて行きたいと思います。
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ブレスコントロールしやい唄口を追求
薄くて程よい肉厚のパイプ形状は、人を選ばずフィットしやすい。唄口のU字部分に入った溝は、何度も職人の腕と感を磨いて安定した吹き心地、ブレスコントロールを追求しました。
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機能美にこだわった高精度のトーンホール
手触りや見た目の美しさ、高い精度にこだわり、ドリルで空けた下穴をリーマーで100分の1ミリ単位の高精度まで仕上げました。また、指の長さに合わせたオフセットタイプをご希望の方は、お問合せください。
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確かな管楽器を追い求め、最適な音を響かせる
シンプルな楽器ケーナと言えど管楽器である以上、正確な音程にはこだわりたい。こだわりのひとつがテールエンド。安定して正確な音程を奏でられるように設計。スベクトラムアナライザによる分析では高めの倍音成分が多く含まれるが低域成分も厚く、ケーナ独特の素朴で自然な味わいを残しながらも、透明感があって豊かな響きを実現。
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優れた素材と職人技術の結晶
高品位モデルを目指して作り上げられたマルコ・ケーナ。工業製品の中でも、アナログな機械職人の手によるものです。またマグネシウムは、金属製であるにもかかわらず、約74gと軽量。これは、スマートホンの半分もしくはそれ以下で、演奏者の負担を軽減。marcoの刻印は、最後の仕上げまでこだわり磨き上げられた美しいボディと、細部までこだわった設計の証です。
高級スピーカーの素材として使用されるなど元々音響特性にすぐれたマグネシウム。
高級スピーカーの素材として使用される等、元々音響特性にすぐれたマグネシウムを使用。スベクトラムアナライザによる分析では高めの倍音成分が多く含まれるが低域成分も厚く、ケーナ独特の素朴な味わいを残しながらもやや金属的で軽やか、かつ豊かな響きを実現。
富士アンディーノ(南米山岳民族音楽家)
フォルクローレ奏者|フェリックス・ゲバラ
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Magnesium Alloy 開発秘話02
Artist フォルクローレ奏者|フェリックス・ゲバラ
ホンジュラス出身。・ギタリスト・南米山岳民族音楽家・フォルクローレ講師
プレイヤーが演奏しやすい
表現力豊かな管楽器
試行錯誤する九川を見ていた社員から、近所にケーナに詳しい人がいる事を知らされる。居ても立っても居られなくなった九川は、直ぐにフォルクローレ奏者のゲバラ氏(富士アンディーノ:フォルクローレアンサンブル楽団)に会いに行った。ちょうどゲバラ氏も神経質な管楽器『ケーナ』に悩まされていた。流通するケーナは一つ一つに個性があり、安定しないものだった。二人の出会いは、マルコケーナの未来に光が差した瞬間だった。
それからは、ゲバラ氏に意見も伺いながら、理想のマルコ・ケーナを目指して開発に没頭。ケーナの吹きにくさは、ケーナ独特の素材や形状に原因がありました。さらに、ケーナの唄口自体がそれぞれ異なる事と合わせて、私たち奏者のくちびるやアゴの形も人それぞれ・・・。このため植物の形・太さ・肉厚などが人によって相性が違ってしまう事がわかりました。偶然ですが、マルコケーナの素材をマグネシウム合金製の金属パイプに決めていた事で、一定の肉厚のパイプ形状が、少量の接地面で人を選ばすフィット。唄口の溝は、何度も職人の腕と感を磨いて安定した吹き心地、ブレスコントロールを追求。体に通した音を繊細に感じる事ができる専門家にお墨付きを頂けるまでになりました。
QUENA marco INLINE with CASE
洗練された機能美はシンプルイズモダン
マルコ・ケーナ諸元
調子:ボリビア式G管
材質:マグネシウム合金 AZ61
(マグネシウム:アルミニウム:亜鉛 = 93:6:1)
外径:Φ22.0
内径:Φ18.6
重量:約74g
仕上げ:磨き仕上げ